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誰でも小さい頃から「青」は進めで「赤」は止まれ、という信号のルールについて教わるものだ。成長して自動車の運転免許を取得するようになると、他にも右・左折用や路面電車用など色々な種類の信号があることを知る。普段見かける信号は教則教本で図解されているものが殆どであり、場所によって若干のアレンジがある程度である。しかし横浜には教則教本に載っていない信号がある。
県民一人当たりの路線バス乗車回数が全国で一番多いとされている神奈川県のお膝元ならではの信号と言えるかもしれない。

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横浜市営バス11系統 保土ヶ谷駅行


桜木町駅前から出る横浜市営バス11系統は、県庁前や中華街を通り、元町をかすめ、港の見える丘公園や外人墓地、旧居留地などの観光名所がある山手の丘の上を抜け、そこから俄然尾根沿いの細い道に首を突っ込み、米軍根岸住宅の裏を通って地蔵坂を一気に下り、中村橋や蒔田駅を経由して保土ヶ谷駅まで向かっている路線である。
桜木町から山手の丘の上(イタリヤ山庭園前)までは横浜随一の観光地を通るため、1時間に2〜3本という中途半端な運行本数を気にしなければ観光めぐりには非常に有用である。だが、山手の丘の上から先、吉田橋までの区間は「え!こんな狭い所にバスが通るの?」と言いたくなるようなクネクネとした狭隘な道を走るのだ。




これがバス専用の信号
「バス専用表示灯」


狭く曲がりくねった道を走るのに、バスの車輌は一般的な大型車である。最近よく見かけるミニバスにすればよいと思ってしまうのだが、そうはいかない。というのもこの路線は結構乗客が多いのだ。観光名所を繋いでいるというのもその理由だが、狭隘羊腸の道路を行くエリアは急峻な山の尾根上に住宅地が広がっており、また付近にも鉄道の駅がないために、ここで生活する人々にとってはどうしてもこの路線バスが生活に必需となってくるのだ。

狭く見通しが悪いとなれば、当然バスのような大型車だと行き違いに難渋する。ワンマンバスで一度立ち往生してしまったら誰も助けてくれないので大変に厄介だ。そこでこの路線では「交互交通制御システム」による「バス専用表示灯」という特別な信号を設置して、行き違うバスに対して「進め」「止まれ」を指示している。

バス専用の信号なら全国にもいくつかあるだろうが、この形態の信号は、おそらく横浜市以外では見られないのではないだろうか。勿論教習所では習うはずもなく、教則教本にも載っていない。
写真を見ると他の信号でも見られるような感知器が2基路上に取り付けられているが、これによって車体の高さ・長さを測ってバス及び大型車を選別し、電信柱に据付けられている制御器で演算して「進め」「止まれ」を指示している。11系統では行き違いが困難とされる次の3箇所に設けられている。

・打越橋〜石川小学校前
・石川小学校前〜唐沢(保土ヶ谷駅行)、唐沢〜平楽中学校前(桜木町駅行)
・増徳院前〜山谷(保土ヶ谷駅行)、山谷〜中村橋(桜木町駅行)

市交通局の『横浜市営交通八十年史』によれば、「昭和55年(1980年)には2787万円をかけて、11系統・平楽線に。56年には840万円で3系統・川和高校線に設置され…」とある。ということは一箇所につき800〜900万円の設置コストがかかったことになる。果たしてこれが高価なのか廉価なのかはわからない。




「すすめ」




「とまれ」




(参考)川和高校前のもの


参考までに…『横浜市営交通八十年史』に「3系統・川和高校線」とあるものは、恐らく73系統のことをさしているものと思われる。川和高校前〜都筑ヶ丘間の道は港北ニュータウンの開発からギリギリで外れたところで、一応片側1車線だから普通乗用車程度ならすれ違い可能だが、幅員の関係で大型車では無理なので、11系統と同じくこのバス専用の信号を用いている。


所在地
 11系統:横浜市南区唐沢・平楽・山谷 地図(MAPFAN)
 73系統:横浜市都筑区川和町(川和高校付近) 地図(MAPFAN)


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