みなとみらい、山下公園、元町、関内、山手といった「お洒落」「ロマンティック」「ハイソ」「近代の黎明」というイメージが先行する場所を横浜のお化粧した顔とするならば、伊勢佐木、福富町、野毛、黄金町、横浜橋、寿町といった街々は素顔、はたまた裏の顔とでも言うべき姿を曝け出している場所だろう。庶民の生活、赤提灯、川沿いの桜、演芸などとともに、ヤクザ、不法滞在外国人、売春、薬、ドヤ街という側面が同じ空間に混在し混沌としている。良い悪いは別にして、街に対して行政と経済力が積極的に介入する首都東京だとこうした混沌は一部の濃厚な場所を除けば確実に消えつつあるが、地方都市たるこの横浜はそうした混沌があちらこちらに残っているのだ。つまり横浜は東京に比べて行政の締め付けが緩く金のめぐりも悪い。だから新陳代謝も滞りがちになり、それだけ昔の雰囲気も、訳のわからぬ混沌も、一緒くたになって今に息づいているわけだ。
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